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チュニジア現地レポート(第16回):チュニジアの主要な行事(2021年10~12月):文化・スポーツ編

こちらの記事は、チュニジアやアラブ圏の文化・スポーツなどに関心がある方々にお伝えしたい情報です。

2022年8月開催予定のアフリカ開発会議(TICAD8)開催国であるチュニジア。弊社スタッフSが、チュニジア北部・南部両方での居住経験をもとに、工業・人材・食・生活・美容など、多種多様なチュニジアの魅力を様々な角度からご紹介していきます。

今回の記事では、チュニジアで9月から12月にかけて行われた、スポーツ・文化の主要な行事についてご紹介します。

1. 2021年10月~12月の祝日(仏軍撤退記念日、イスラム教の預言者生誕祭、革命記念日)

10月15日は仏軍撤退記念日に制定されています。チュニジアでは旧宗主国のフランスから1956年に独立したものの、その後も仏軍がチュニジア国内に留まり続けました。チュニジアでは1963年に、地中海沿いのビゼルタ県から完全撤退した日を祝日として制定しています。

西暦2021年10月18日はヒジュラ暦1443年3月12日にあたり、預言者生誕祭です。既に全世界に存在するイスラム教徒ですが、このイスラム教の開祖ムハンマドの生誕祭の祝い方は国によって様々です。

チュニジアの生誕祭は近隣国リビアやアルジェリアとも一味違います。チュニジアでは“アシーダ・ズグーグ”と呼ばれるスウィーツを食べます。個人的にはクリスマスにケーキを食べるような感覚です。ズグーグ(アレッポ松の実)をペースト状にしたム-スの上に、牛乳と卵黄のクリームを加え、仕上げの最上層に、松の実、ピスタチオ、クルミ、ヘーゼルナッツ、アーモンド等のナッツ類を加えます。

2021年は現大統領により、「アラブの春」を象徴する「革命記念日」の変更がなされました。これまでは2011年にベンアリ元大統領が国外に逃亡した「1月14日」 としていましたが、2010年に中部シディブジド県で露天商であった青年が焼身自殺をした「12月17日」を革命記念日として再制定しました。

同国の革命の芽は、既に数年前から南部で断続的に発生していたデモにありますが、青年の死は、長く続いた当局の抑圧的な取り締まりの末の出来事で、これを期に、国民は我慢の限界を超え、結果的に全土へ広がる革命となりました。

2. アラブカップ(決勝はアルジェリアVSチュニジア 12月18日)

以前の記事で、国内のチュニジアカップ、チュニジアリーグについて紹介しました。国際大会において、チュニジアはアラブ圏にもアフリカ圏にも属しているため、同国は、2021年12月カタールで開催された第12回FIFAアラブカップに出場しました。この大会は2022年11~12月に開催されるFIFAW杯の前哨戦で、アラブ圏の国々が参加しました。

FIFAアラブカップではチュニジアは準決勝まで登りつめ、モハメド・サラー選手率いるエジプトを破りました。決勝はカタールの国民の祝日である12月18日に行われ、強国でありながら、互いに兄弟関係であると認め合う隣国アルジェリアと対戦しました。延長戦の末、惜しくも準優勝に終わりましたが、アラブ圏の大会でマグレブ地域2か国が首位と2位を独占する姿はチュニジア国民にとっても誇らしかったでしょう。

同大会での最優秀選手はアルジェリアの2選手、得点王にはモーリタニア戦で4得点をおさめたチュニジアのジャジーリ選手が選出されました。彼は現在エジプトの強豪チームで活躍しています。

また、今後の注目選手は、ハンニバル選手です。彼はフランス生まれですが、両親がチュニジア人で、今回チュニジア代表として出場を果たしました。現在マンチェスターユナイテッドに所属する19歳の若手有望選手です。彼の名前は、かのカルタゴの戦術家武将ハンニバルと同名です。

※本戦である2022年11~12月FIFAW杯カタール大会ではチュニジアは、アフリカ大陸枠の5つの出場権をかけて、3月にマリと対戦予定です。

3. 冬の防寒服カッシャービーヤとバルヌースに見る映画スターウォーズ

チュニジアは11月に入ると一段と寒くなります。この時期は“カッシャービーヤ”と呼ばれる伝統服を、身に着ける姿を見ることができます。見た目の薄さに反して、生地は羊毛もしくは駱駝毛からできており、実は暖かいのです。

2019年末、このカッシャービーヤを着た某日本人が、南部ギベリ県(ケビリ県)ドューズの市場でラクダを購入し、そこからトーズル県やガフサ県へ北上するという勇姿がチュニジアメディアで注目されました。チュニジア人、特に南部の人々にとってラクダは身近ですが、車で北上はしても、ラクダで北上する発想はなく、その姿は、現代のイブンバットュータを連想させ話題となりました。

同じく、冬の防寒服である“バルヌース”は、伝統的な冬用マントです。手で押さえる必要があり、カッシャービーヤほど身動きは取れませんが、現在は政界を引退した、民主化移行期間中に大統領であったマルズーキ氏はギベリ県出身で彼の就任当時にバルヌースが身に着けられました (ギベリ県は他地域に比べ、より日常的に身につける習慣があります)。

カッシャービーヤやバルヌースの防寒服はチュニジア全土のみならず、モロッコからリビアに至るまで着られ、アマジグ文化が起源とされています。

※映画スターウォーズのロケはチュニジア南部でも行われましたが、ガベス県にはロケ地となったマトマタの住居があり、同国最南端のタタウィン県は、架空の惑星タトゥイーンの名に似ていますね。ジェダイの服もバルヌースとカッシャービーヤを混ぜたものに似ていませんか。


今回は、9月~12月開催のスポーツや文化について紹介しました。

暑い夏が終わり秋に入ると、チュニジア南部は観光に最適な季節に突入します。南部観光の魅力と言えば、砂漠ではないでしょうか。といっても南部全域が砂漠で占められているわけではありません。

特に、南部ガフサ県は砂漠の入り口と言われ、ガフサ県から南下する中で、いわゆる砂漠の光景が現れます。ギベリ県では毎年12月に砂漠国際フェスティバルが開催され、世界各国からも団体が参加します。2019年には日本人の一団も参加 しました。フェスティバルでは、砂漠の狩猟犬サルーキによる兎の狩猟ショー、ラクダ競争やラクダ相撲、競馬や馬の美しさを競わせるショーなど、砂漠地域ならではのイベントが催されます。昔からアラブ人もアマジグ人も騎馬技術に長けており、チュニジアにもアラブ種とバルブ種(ベルベル種)の馬が存在します。

夏の暑さで有名な南部ですが、実は冬も、砂漠地域の夜は首都より冷え込みますので、防寒服をお忘れなく!カッシャービーヤを現地調達するのもありですね!

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