チュニジア現地レポート(第9回): 日本で売れそうなチュニジア製品とは?
こちらの記事は、チュニジア製品の輸入と日本での販売に関心がある方にお伝えしたい情報です。
2022年8月開催予定のアフリカ開発会議(TICAD8)開催国であるチュニジア。
チュニジア在住の弊社スタッフSが、
チュニジア北部・南部両方での居住経験をもとに、工業・人材・食・生活・美容など、多種多様なチュニジアの魅力を様々な角度からご紹介していきます。
前回(第8回)の記事では、チュニジアでの新型コロナウイルス感染症の動向や対応策の現状についてご紹介しました。
また、前々回(第7回)の記事では、チュニジアで売れそうな日本製品についてご紹介しました。
今回の記事では、私が住んでみて感じた日本でも売れそうなチュニジア製品について紹介していきたいと思います。
近年はさらなる健康志向の高まりもあり、日本でも世界各地から取り寄せた様々な良品を買い求める傾向があるように感じます。
チュニジア産品も例外でなく、日本のコンビニではチュニジア南部の特産品のスーパーフードであるデーツが販売されています。また、日本のスーパーでは日本風にアレンジされた調味料のハリッサや、チュニジア産マグロの刺身も手に入る環境となっています。
今回は、私がチュニジアに住んでみて感じた、日本でさらに受け入れられそうなチュニジア製品を、オーガニックやSDGsの側面から個人的な視点で紹介したいと思います。
1.オリーブ木材
個人的に特に注目しているのはオリーブ木材です。最近では、SDGsへの注目の高まりから、竹製の歯ブラシや日本の某大臣も抗アレルギーの木製腕時計を着用したりと、体や環境にやさしく、長く使用できる物を購入する動きが見受けられます。
味のある木目模様のオリーブ木材は既にまな板やスプーンなどキッチン用具として流通しはじめていますが、他にも、お箸や弁当箱、髪ブラシやサングラス、万年筆の素材、下駄など、日本の物づくりと連携できるような製品として様々付加価値がついた商品があったらいいなと思います。
実は、チュニジアのオリーブオイルは、ニューヨーク、イタリア、スペイン、ロンドン、ドイツ、東京など世界各地で開催される国際オリーブオイル品評会で、競合のスペインやイタリアと肩を並べ、最高品質と言われるエキストラバージンオリーブオイル部門でも数々の金賞を受賞しています。こうした上質なオリーブが育つチュニジアのオリーブ木材を使用した製品は極めて価値が高いと言えます。
木造の家やお箸などの食器類、木工の工芸品など、様々な場面で木材が身近にある日本人の間では、オリーブ木材も生活の一部に取り入れられていくのではないでしょうか。
2.無添加(オーガニック)石鹸
オーガニック石鹸は、アトピー肌や乾燥肌や敏感肌など、肌が弱い方にも手に取って頂ける製品です。オーガニック石鹸と言えば、南フランスのマルセイユ石鹸、シリアのアレッポ石鹸が知られているのではないでしょうか。
実は、これらの国々も地中海に面するオリーブの栽培国で、オリーブオイルが含まれた無添加石鹸を生産しています。
“石鹸のような使い方”をされたのは今のイラク(バビロン)で、紀元前2800年前頃とされています。シリアのアレッポ石鹸は世界で最も古い“固形“石鹸と言われており、今でも伝統的な製法で生産されています。
ヨーロッパへは十字軍の時代に今のシリア周辺(シャーム地方、レバント地方)への遠征で、その製法が伝わり、日本へもポルトガルやスペインを通して伝わったとされています。
アラブとフランス文化が混ざり合うチュニジアでも、肌に優しい成分を含んだ、様々な石鹸が生産されています。
オリーブ石鹸の他にも、クレイ石鹸、ヤギ乳石鹸、小麦ハチミツ石鹸などがあり、身体用の黒石鹸(ブラックソープ)としては、ユーカリ黒石鹼やアルガン黒石鹸やクローブ黒石鹸など、挙げればきりのない程、豊富な種類のチュニジア産の石鹸が既に生産されています。
特に駱駝乳石鹸は駱駝を有するチュニジアの特産品ともなりますし、おしゃれなパッケージで贈り物やお土産としても最適です。
3.伝統的な履物バルガ(バブーシュ)
近年、モロッコの伝統的な履物と知られるバブーシュが日本ではアレンジされて認知されていますが、実はチュニジアにも名前を変えて“バルガ“と呼ばれる伝統的な履物があります。
バルガ(バブーシュ)は“マグレブ地域の伝統的な履物”として、チュニジア、モロッコだけでなく、アルジェリアやリビアにも存在しているものです。
伝統的なバルガはかかと部分が織り込まれていますが、実は指先が隠れるスリッパのような外履き、中履きとして使用される現代の履物もバルガと呼ばれています。
チュニジアでは、伝統的なバルガは結婚式などの伝統衣装を身にまとう際に男女ともに足元を彩るために履かれ、結婚式で使用されるくらいなので美しくデザインも豊富で、本革製は火であぶっても燃えません。そして山羊革は軽くて丈夫です。
チュニジア人は、伝統的なバルガを日常的な履き物としては使用しませんが、観光客にとっては定番の土産物となっています。
日本でも、既にオフィスや家などの室内履きとして買い求める強者もおり、日本国内で様々な使われ方がされた外履きや履き心地の良いスリッパとして、今後世界に逆輸出されるかもしれませんね。
今回は日本で売れそうなチュニジア製品ということで紹介しましたが、実際にはチュニジアはオリーブ、駱駝乳、バルガなど近隣諸国と共通する衣食住文化を持ち合わせているため、独自の物というのはなかなか存在しません。
特にマグレブ地域といわれる、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、モーリタニアは “クスクス”に代表されるような共通の文化遺産があり、衣食住に関しては様々な面で共通点を有しています。
しかしながら、それぞれの国の特性を生かすという面からは、今回紹介した無添加石鹸やオリーブのように、チュニジア独自の製品になるような差別化が図られていくものと思います。