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中小企業のブランディングとマーケティング(第4回):今後の製品設計における「標準化・共通化・モジュール化」とマーケティング

こちらの記事は、海外展開に関心のある製造業の経営者や技術者の方にお伝えしたい情報です。

国内の精密機器メーカーにて10年超の海外営業経験を持つ弊社スタッフNが、中小企業のブランディングとマーケティングについて実体験を交え、様々な角度からご紹介していきます。

前回の記事では、「女性の事業承継と新しいブランド視点」についてご紹介しました。

今回の記事では、「今後の製品設計における「標準化・共通化・モジュール化」とマーケティング」についてご紹介します。


第4回目の今回は、これまでの製品開発における「標準化、共通化、モジュール化」の重要性を、私のこれまでの中小製造業(精密機器メーカー)での実体験を元にお伝えします。

その上で、今後新たな製品開発やそのマーケティングで新たな自社ポジションを見つけるための、ほんの少し視点を変えたアイデアをご紹介します。

1. 「標準化」「共通化」「モジュール化」の違い

まずそれぞれの定義ですが、その業界によっても異なる場合がありますので、基本的に私は工業製品のものづくり観点でお伝えします。

「標準化」は、“設計標準化”ということばがあるように、設計工程を標準化し、それに基づいた設計を行うことです。
主に高い品質での大量生産をしてきた時代に、さらに効率化を加えてコストダウンの目的も併せ持っています。

「共通化」は、多仕様・多製品を持つ中でも、共有できる部品を増やし、主にコストダウンを目的として行われてきました。

「モジュール化」については、一つの複合製品をいくつかの独立したブロックに分けて構成(設計)することです。
モジュール化の良さは、ブロックごとにその評価をすることができます。
1社でモジュール化された製品を開発する場合には、後々品質トラブルが生じた際に、その検証・評価がブロックごとに行え、原因特定において効率的です。

2. 私が見てきた「標準化」「共通化」「モジュール化」

前段で述べた通り、工業製品のものづくりでいう一般的な「標準化」とは、設計工程を標準化し、それに基づいた設計を行うことです。

近年の消費者向けの電気製品などの場合の「標準化」という課題は、さまざまな環境変化や周辺機器などの影響を受け、「標準化」すべき基準を追い求めることもあるかもしれません。

一方で、私の扱っていた製品は、非常にニッチな市場用途で、50年にわたりその軸となる「標準化」を受け継いでいました。その周辺機器の仕様や環境が大きく変わらない限りは、その標準設計を維持した上で、製品の水平展開が行われます。

それでは「共通化」・「モジュール化」はどうでしょうか。

「共通化」はまさに大量生産におけるコストダウンを主目的とするため、これがうまくできないと非効率な作業が増え、結果として利益を削っていることになります。

例えば、世界的な環境規制強化の過程で、それまで使用していた材料や表面加工を切り替えざるを得ない状況が続き、スムーズに切り替わらないとその期間はさらに管理が複雑になります。

逆を言えば、これが上手くできるほど企業努力での利益創出となり、メーカーの形としてとても好ましいと考えられます。

私が見てきた「共通化」は、継続的に適用することでノウハウが蓄積され、上流から下流工程まで、より効率的なシステム構築に繋がっていきました。

「モジュール化」は、それまで2つの機能を別部品として提案していたところから一つのユニット(モジュール)として新しい機能部品を開発提案する形がこの例です。

当時機能部品メーカーとしては、完成品メーカーの要求仕様に応じる上で技術的に難しい部分はありましたが、完成品メーカーにとっても品質面や完成品の小型化という進化、さらには管理上でも2点(以上)から1点に減る、などといったメリットを感じてもらえるこの形が、競合他社との差別化において重要な新製品開発の形でした。

ここで重要なのは、いかに完成品メーカーの新製品開発に合わせて早い提案ができるかということでした。

3. 規格・ルールを自らが作り出すことで生まれるポジション

先日、製品サービスの「標準化」に関連したあるセミナーを聴講し、講師の方がこのようなことを仰っていました。

「中小企業は市場規模が小さくても事業が成り立つので、自社が率先して“規格”を作り出すことで差別化し、その市場を囲い込める可能性が高い。」

これまでは、価格競争の中でのコストダウンを主な目的とした「標準化」「共通化」「モジュール化」がありました。

しかし、これからの市場獲得に必要なことは、自社の製品が先駆けて「標準」を生み出し、その周辺(製品)での価格競争が生まれる構造を作り出すことです。

これは決して周りを潰していく、ということではありません。

自社の“強み”を決して「他と違う部分」ということだけで満足せず、率先して標準を作る、つまりはそれによって生まれる製品付加価値(利益)を確保することです。

これは、多くの中小企業にとって、これからの自社のブランディングやその先にあるマーケティング、さらには新しい市場でのポジショニングを考える上で決して切り離すことのできないことだと考えています。

世界中でこれからも様々な規格・基準やルールが生まれると思います。
自社のオリジナリティが決してそこだけの「オリジナル」になるだけでなく、このようなことにいち早く気づいて動ける企業ほど、世界の「標準」になる日も近いかもしれません。


番外編:自分で歩く海外 <デンマーク、コペンハーゲン>

“モジュール化”といえばその代表例がこちらの「レゴ(LEGO)」です。 

私は昔からレゴが大好きで、いつか本場のデンマーク・コペンハーゲンに行きたいと夢見て2019年のヨーロッパ旅行で実現しました(本当はレゴランドにも行きたかったのですが、そこはまたいつかの楽しみとしてショップのみを回りました)。

昔は想像力をフル稼働してもなかなか思う通りに作れませんでしたが、今ではこうして他の人が創造したものを見ることも楽しいです。

あまりルールに縛られるのは好きではない私ですが、ルール(モジュール化された標準パーツ)があってこその「オリジナリティ」が、永遠に飽きのこない理由かもしれません。


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