チュニジア現地レポート(第7回): チュニジアで売れそうな日本製品とは?
こちらの記事は、海外への日本製品の輸出に関心がある方にお伝えしたい情報です。
2022年8月開催予定のアフリカ開発会議(TICAD8)開催国であるチュニジア。
チュニジア在住の弊社スタッフSが、
チュニジア北部・南部両方での居住経験をもとに、工業・人材・食・生活・美容など、多種多様なチュニジアの魅力を様々な角度からご紹介していきます。
前回の記事では、
リビアやアルジェリア等の周辺国からも注目を集めている、チュニジアの医療ツーリズムについてご紹介しました。
チュニジア国内には “BONSAI”や“ORIGAMI”といった飲食店も存在し、日本語はチュニジアでも浸透していますが、”KARAOKE“ “EMOJI”はよく知られている言葉でも、それが日本語とは認識されていません。
“KIMONO”や“SUSHI“は日本を象徴する言葉となり、中には、日本酒や白イチゴ、制服などにも興味を示す若者もいましたが、それとは反対に地図で日本がどこにあるかもわからない人々もいました。
そもそも、日本の情報を発信している媒体が少ないため、日本に関しての情報は少ないです。
しかしながら、幼いころから“ちびまる子ちゃん”等の日本のアニメに触れ、ニュースではたびたび日本の技術力を紹介されたりと、
日本の文化やテクノロジーへの関心は強く感じられます。
また、あまりにも自分達の知る世界の国々とは違うということで、
「カウカブルヤバーン:直訳 日本という惑星」
と言われるほど、不思議なイメージを持たれています。
今回の記事では、私が住んでみて感じたチュニジア人の日本についての興味関心を踏まえて、チュニジアで売れそうな日本製品についてご紹介します。
1.日本の伝統衣装
実は日本の伝統衣装には、チュニジアを含むアラブ圏の物といくつかの共通点があると感じています。
まずは下駄です。
アラブ圏にも古くから木製の下駄「カブカーブ( قبقاب)」があるため、日本の下駄は「カブカーブヤバーニー」と呼ばれています。
チュニジアでも、昔は公衆浴場(ハマム)へ行くときに足元が地面に濡れないように下駄が履かれていました。
日本の技術を加えた下駄は、チュニジアだけでなくアラブ圏でも注目されるのではないでしょうか。
次に頭巾です。
身にまとう理由は異なるものの、昔の日本でも外出時の防寒着である御高祖頭巾(おこそずきん)や、仏教で出家した尼僧の頭巾で髪の毛を隠していたことに、ヒジャブと共通点を感じます。
信仰上の個人の自由で髪の毛を隠す女性もここチュニジアにも一定数おり、こういった着こなしに選択の幅のある日本の伝統服は、より一層注目されていくのではないでしょうか。
既にイスラム大市場と言われるインドネシア女性からも着物への関心は高まっており、下駄、頭巾とともに今後益々受け入れら可能性があるのではと思います。
また、最近チュニジアでは夏場に“扇子”が街中で出回っています。
日本のような小ぶりの扇子ではなく、フラメンコなどで使われるような大振りの扇子です。
この点でも、日本の扇子の需要は十分あるのではと感じました。
2.フェイスケア、ヘアケア(電動シェーバー、コンディショナー)
チュニジア人は毛が濃い男性が比較的多いです。
また、髭剃りはたいてい使い切りタイプや数回使用したあと廃棄するようなものが主流です。
ここチュニジアでも日本製は一定のブランド価値をもっていますし、長持ちするイメージがあるため、多少値が張っても買い求める人々はいるのではないでしょうか。既に韓国製の生活家電は一定の評価を得ています。
チュニジアのビジネスシーンでは髭をそることが励行される業種もありますし、定期的に髭を剃る、整える人が多いです。
また、チュニジアには黒髪でウェーブのかかった髪質の女性が多いのですが、ストレートヘアへの憧れもあるようです。
女性の美への関心も高く、美容院へ“ケラチン”をつけるために定期的に通うほどです。
逆に日本では直毛すぎて、パーマをかける女性もいるので、面白いですね。
チュニジアでもモロッコでもしばしば髪の話題になり、アジア人特有とは言え、直毛の日本人が使用するシャンプーやコンディショナーに興味を示します。
実際に、一定期間使用してもらった結果、効果を実感する声もありました。
これは個人的な意見ですが、ここでもコンディショナーは手に入るもの、日本のような髪を滑らかに、絡まないようにするようなものはなかなか見つからず、あきらかに日本のそれとは違うともの感じます。
このような体験からも、日本ブランドを生かした商品展開は大変効果的であると感じます。
3.マッサージチェア、マッサージ器具
チュニジアでは、骨折や事故の後遺症、術後のケアなどで、医師の指示のもと理学療法士が素手や機械を用いたマッサージ療法がリハビリテーションの一環として行われています。
私がチュニジアのマッサージ事情について知るきっかけになったのは、あるお宅で、SHIATSUと記載されたコンパクトマッサージチェアに遭遇したからです。
このマッサージチェアは日本製ではありません。
持ち主も“SHIATSU”が日本語であることも知りませんでした。
この会社はドイツの健康器具メーカーで世界各地で様々なマーサージ用品を販売しています。
試してみたところ、肩から腰までもみ玉の力の入れ具合もしっかりしており、椅子に設置すればすぐに使用可能でなかなか効果のあるマッサージチェアでした。
“SHIATSU”という言葉が商品名として使用されているのは、海外の医療業界で日本がある程度認知されていることの表れだと思います。
しかし、チュニジアでは主に“マッサージ”と言えば医師の指示のもと患者に施されるものという感覚なので、日頃から自分で素手やマッサージ器具で身体をほぐすことは浸透していません。
こういった家で簡単に使えるマッサージチェアやマッサージ器具は、今後予防医学の観点からも意外と需要があるのではないでしょうか。
以上のように、今回は個人的見解をもとにチュニジアで売れそうな日本製品をご紹介しました。
実際、チュニジア国内では既に生活に必要なものはほとんど手に入る状態です。
ただし、その多くは多くは中国産であったり旧宗主国のフランス産であったりします。
例えば、化粧品はフランスを筆頭にスペイン、ドイツ、イタリアからのものが、最近では韓国産も出回っているようです。
また、子供用の玩具や食器類はたいてい中国産が出回っています。
こういった中で、日本製品として付加価値をつけたものを買い求める購買層もやはりいますし、日本ブランドを出していくこともとても大切ではないかと思います。
“弁当”文化はその一つで、チュニジアでも最近ではタッパに入れて持参する人々も見受けられますが、日本のお弁当箱のデザインはお洒落に見えるようです。
また、チュニジアへは多くの観光客が訪れます。
韓国人留学生はチュニジアでよく日本食レストランへ訪れていました。
諸外国から観光国チュニジアへの観光客の購買力も視野に入れると、より魅力的な市場と捉えられるのではないでしょうか。