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事業再構築補助金を活用した海外展開の3つのポイント(2021/3/17更新版)

現地調査と事業の具体化

海外展開支援コンサルタントの杉田昌也です。
この記事は、海外への販路開拓や海外企業との協業等を検討中の経営者や事業責任者の方にお伝えしたい情報です。

経済産業省による中小企業等への支援事業で、
2021年3月から公募開始予定の「事業再構築補助金」を活用した
海外展開の取り組みで留意すべき3つのポイントについて解説します。

※この記事は、2021年3月17日時点で経済産業省が公表している情報に基づいています。3月の公募開始(予定)までに、事業内容が変更される可能性もありますのでご留意ください。

1.事業再構築補助金の概要

事業再構築補助金は、経済産業省が
中小企業等の新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、
事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を支援する
「中小企業等事業再構築促進事業」による補助金です。

対象となるのは、以下の①~③の条件をすべて満たす企業・団体です。

①申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、
コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等。

②事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、
一体となって事業再構築に取り組む中小企業等。

③補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、
又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成。

2.企業の規模に応じた補助率・補助額と、補助対象経費の例

事業再構築補助金による補助率・補助額は、中小企業と中堅企業で異なります。

<中小企業の場合>
通常枠:補助額 100万円~6,000万円、補助率 2/3
卒業枠(後述):補助額 6,000万円超~1億円、補助率 2/3

<中堅企業の場合>
通常枠:補助額 100万円~8,000万円、補助率 1/2 (4,000万円超は1/3)
グローバルV字回復枠(後述):補助額 8,000万円超~1億円、補助率 1/2

また、補助対象経費の例として、以下の費目が挙げられています。

  • 建物費
  • 建物改修費
  • 設備費
  • システム購入費
  • 外注費(加工、設計等)
  • 研修費(教育訓練費等)
  • 技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
  • 広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)など

ただし、 補助対象企業の従業員の人件費や旅費については補助対象外となります。

業種別の活用イメージとしては、
「航空機部品の製造業者が、ロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立ち上げる」
「食品の製造業者が、製品製造過程で生成される成分を活用して、新たに化粧品事業を立ち上げる」
「店頭販売の小売業者がネット販売やサブスクリプション形式のサービス事業に業態を転換する」
などの例が挙げられています。

3.海外展開に活用する上での3つのポイント(2021/3/17更新)

事業再構築補助金を海外展開に活用する際のポイントとなるのは、

(1)補助対象経費の効果的な組み合わせ
(2)中小企業「卒業枠」の活用
(3)中堅企業による「グローバルV字回復枠」の活用 の3つです。

(1)補助対象経費の効果的な組み合わせ

事業再構築補助金を海外展開に活用する上での最も重要なポイントが、
自社の海外事業を早期に展開・拡大するために
「補助対象経費を効果的に組み合わせる」ことです。

例えば、海外展開に関連した取り組みとその経費としては、
以下の内容が挙げられます。

  • 外注費:海外市場の情報収集、市場調査、翻訳・通訳、海外向け製品加工 など
  • 研修費:海外ビジネス対応の社内人材の育成、貿易実務のセミナー受講 など
  • 技術導入費:知的財産権(特許等)の導入 など
  • 広告宣伝費・販売促進費:海外向けWEBサイトや販促資料・動画等の作成、 海外見込み顧客の探索、オンライン商談サポート、海外展示会への出展サポート など

これらの活動は個別に行うのではなく、相互に連携し相乗効果を生むことがベストです。
しかしながら、個々のサービスの見積金額だけを比較して発注先をバラバラに選定すると、各取り組み間での横断的な連携が取れず、結果として得られる成果も限定的になってしまいます。

このため、幅広い分野の専門家との協業関係がすでにあり、
上記のような活動全体を俯瞰できる海外ビジネスの専門家に見積を依頼すると共に、海外展開事業全体への助言・支援も同じ専門家から得られる体制を作ることが望ましいといえます。

(2)中小企業「卒業枠」を活用する

補助対象企業のうち、事業計画期間内に

①組織再編
②新規設備投資
③グローバル展開

のいずれかの方法で資本金又は従業員を増やし、
中小企業から中堅企業へ成長する事業者は、
400社限定で中小企業「卒業枠」として採択されます。

前述のとおり、中小企業「卒業枠」で採択されると、
補助額が最大1億円まで増額される等、
より手厚い支援を受けることができます。

海外展開への活用の観点では、
③グローバル展開
による成長を目指す事業計画を作成した上で補助金申請を行う必要があります。

2021年3月17日に中小企業庁から発表された「事業再構築指針」によると、グローバル展開とは以下の1)~4)のいずれかに該当する事業を指します。

1)海外直接投資
2)海外市場開拓
3)インバウンド市場開拓
4)海外事業者との共同事業

事業計画を作る際に連携する、認定経営革新等支援機関や金融機関に加えて、
海外市場や規制・許認可、貿易、投資優遇・投資規制、
市場の将来ポテンシャル等を熟知した海外ビジネスの専門家の助言・支援も受けられる体制で補助金申請を進めることが重要となります。

(3)中堅企業による「グローバルV字回復枠」を活用する

中堅企業(定義は今後公表見込)のうち、
以下①~③の要件を全て満たす企業は、
100社限定で「グローバルV字回復枠」で採択されます。

①直前6か月間のうち任意の3か月の合計売上高がコロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、 15%以上減少している中堅企業。

②補助事業終了後3~5年で付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を 達成すること。

③グローバル展開を果たす事業であること。

中堅企業「グローバルV字回復枠」も、補助額が最大1億円まで増額される等、
より手厚い支援を受けられますが、
こちらも前項1)~4)で示したグローバル展開への取り組みが必須となります。

前述のとおり、
事業計画を作る際は認定経営革新等支援機関や金融機関との連携が必要となりますが、これらの支援機関や金融機関に、必ずしも海外ビジネスや海外市場に詳しい専門家が在籍しているとは限りません。

このため、海外ビジネスの専門家を補助金申請の準備段階からしっかりと巻き込んだ上で申請手続きを進めていくことが極めて重要となります。


MSCパートナーズでは、事業再構築補助金を活用した海外展開を円滑に進めるための事前準備や計画づくり、最適な専門家チームの編成などをサポートしています。こちらのフォームからお気軽にお問い合わせください。

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