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BtoBビジネスの海外展開 第1章:基礎編(7)製品・サービスのローカライズと継続的改善のポイント

海外展開支援コンサルタントの杉田昌也です。
私は海外企業との直接的な取引や業務提携が必要なBtoBビジネス(日本企業~海外企業間でのビジネス)やBtoBtoCビジネス(日本企業と海外企業との取引や提携を経て海外顧客と行うビジネス)の実現をお手伝いしています。

本ブログでは、海外展開を目指すBtoB(BtoBtoCを含む)ビジネスの経営者様を対象に、海外向けビジネスモデルの考え方や、具体的な準備と検討の方法、成功に向けたポイント、活用すべき支援制度などの参考情報をシリーズで紹介しています。

前回の記事では、基本戦略その4「現地企業とのパートナーシップを構築する」際の、パートナー選びの視点や信頼関係の築き方を深掘りして解説しました。

今回の記事では、基本戦略その5「ローカライズした製品・サービスを継続的に改善する」際の具体的な考え方とプロセスについて解説します。

1.「日本と同じ」が通用しない場合を考える

日本で高く評価されている高品質な製品やサービスが、海外でもそのまま受け入れられるとは限りません。国や市場に応じた顧客の価値観の違いはもとより、気候風土の違い、既存製品や競合製品と比較した相対的な価値の違い、価格と価値に対する考え方の違い、使用者の習慣や住環境の違いなどが、日本側で予見できない事項も含めた様々な「ズレ」の要因となります。

ここで重要なのは、日本の仕様の押し付けではなく、現地の顧客が抱える不便や課題に寄り添う「ローカライズ」の視点です。初期段階での適応はもちろん、市場に投入した後も絶えず変化する現地のニーズに合わせてアップデートし続けることが、顧客への継続的な価値提供や、競合他社に対する優位性の維持にもつながります。

2.フィードバックを収集する仕組みづくり

継続的な改善を行うためには、現場の声を吸い上げる仕組みが不可欠です。しかし、遠く離れた日本にいると、現地のリアルな情報はなかなか届きにくいものです。

そこで主導的な役割を発揮するのが、前回の記事で解説した「現地パートナー」や「現地スタッフ」との連携です。共通のコミュニケーションツールを日常的に活用したり、定期的な定例ミーティングでの情報共有などの仕組みを整えることの重要性は言うまでもありません。加えて、現地側から日本側への情報共有に伴う心理的ハードルをなくす/下げる工夫や、日本側からの指示待ちではなく現地側が自らの判断で能動的に意見を出せる主体性の醸成も重要なポイントとなります。これらを通して、顧客からのクレームだけでなく、「こんな機能があればもっと喜ばれる」といった前向きな要望も日常的に収集する体制を整えましょう。

また、経営者自身が定期的に現地を訪れ、顧客の現場を直接見る「三現主義(現場・現物・現実)」も忘れてはなりません。言葉の壁を超えて、製品がどのように使われ、どのような課題が生じているかを肌で感じることは、次の改善案を練る上での大きなヒントになりますし、日本側で重要な意思決定が求められる場合の具体的根拠にもなります。

3.柔軟性とスピード感を持った意思決定

国内外における市場環境の急激な変化については一連のブログ記事でもお伝えしていることですが、海外市場、特に新興国市場の変化の速さと、その実態を日本側で正確に把握することの難しさは十分に留意する必要があります。収集した情報を日本側で分析し、対応策や改善案等を出すまでのプロセスに時間をかけすぎると、せっかくの商機を逃したり、現場の課題がどんどん深刻化するといったこともあり得ます。

これらを踏まえると、たとえ重要な経営課題であっても、それらの全てを日本本社で判断するのではなく、現地法人や信頼できるパートナーに一定の裁量権を与え、現場でのクイックな改善を繰り返す「アジャイル」なアプローチの方が、柔軟性とスピード感を持った意思決定がしやすいです。失敗を恐れず現場にある程度任せてみることや、小さな改善を積み重ねつつ市場の反応を見てさらに洗練させることが、海外展開において持続可能な成長を実現するための核心となります。

本シリーズを通じて、BtoBビジネスの海外展開における基礎から具体的な戦略までをお伝えしてきました。海外展開は一朝一夕には成し遂げられませんが、自社にあった事業展望の下で、ゆっくりでも着実に正しいステップを踏んでいくことで、必ず道は開けます。私は、志と勇気を持って海外市場に挑戦する経営者様をこれからも応援しつづけます!

BtoBビジネスの海外展開 第1章:基礎編
(1)海外展開の背景/展開方法/成功例の共通点
(2)成功に向けた5つの基本戦略
(3)自社に最適な対象国・市場選定のポイント
(4)複数の切り口からの市場調査
(5)自社に最適な進出形態を選択するためのポイント
(6)現地企業とのパートナーシップ構築のポイント
(7)製品・サービスのローカライズと継続的改善のポイント


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