国際協力機構(JICA)の新事業「中小企業・SDGsビジネス支援事業」の応募に向けたポイント3点

途上国ビジネス支援・海外開発コンサルタントの杉田昌也です。
この記事は、開発途上国でビジネスを展開している、あるいは今後展開したいと考える企業の皆様にお伝えしたい情報です。
国際協力機構(JICA)の海外展開支援制度の一つとして、2018年9月公示分から新たにスタートする支援事業の説明会が、8月1日にJICA本部で開催されました。この記事では、説明会で紹介のあった新事業の概要と、合わせて発表された他の制度変更について、重要な3つのポイントに絞ってご紹介します。
説明会の発表資料と、2018年9月公示分のプレ公示資料は、JICAの民間連携事業のサイトで公開されています。
同サイトの下部「お知らせ」2018年7月30日付の「資料公開【新制度説明会】(2.16MB) 」、ならびに「企業提案型事業(中小企業海外展開支援事業、民間連携事業)の制度変更と次回公示のご案内(127KB) 」をご覧ください。
1. SDGsへの貢献が強調され、応募資格(中小企業/大企業)の区別が分かりやすく
今回の制度変更では、まず支援事業全体の名称が「中小企業・SDGsビジネス支援事業」へと変更され、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献が明示されました。
参考記事:持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する途上国ビジネス展開の3つのメリット
JICAの説明資料にも記載がありますが、この名称変更は、日本の民間企業が継続的に企業価値を向上させていく上での目標・指針の一つとして、SDGsを経営戦略に盛り込む動きが出てきていることを受けたものです。
また、これまで一部曖昧な点が指摘されていた、応募企業の規模(資本金、従業員数等)に応じた各事業の位置づけも明確になり、中小企業/大企業がそれぞれどの支援事業に応募できるかが、より分かりやすくなりました。

2. 大企業向けに新設された「SDGsビジネス支援型」事業
今回の制度変更では、大企業向けの「SDGsビジネス支援型」事業として、「案件化調査(850万円)」と「普及・実証・ビジネス化事業(5,000万円)」が新設されました。
特に「普及・実証・ビジネス化事業」は、旧制度で大企業向けの「SDGsビジネス調査」と「民間技術普及促進事業」が統合されたもので、旧制度での活動内容を同様に実施できる上、資機材購入費を計上できる予算枠が大きくなったことがポイントです。
旧制度では、大企業には予算上限2,000万円の「民間技術普及促進事業」でしか資機材購入費が計上できず、
旅費や調査費への配分を考慮すると、資機材費に充てられる予算額は極めて小規模でした。
一方で、今回新設された大企業向けの「普及・実証・ビジネス化事業」では、予算上限5,000万円の中で、現地でのF/S調査やパイロット活動、先方政府関係者の日本への招聘活動等だけでなく、資機材の購入・活用も可能となります。
ただし、旧制度と同様に、事業実施後の資機材は先方政府機関に譲渡するという条件がつきます。
3. 中小企業向けの各種事業はこれまでと同じ
今回の制度変更では、中小企業が応募できる各種事業の内容に関する変更はありません。旧制度の「普及・実証事業」の名称が「普及・実証・ビジネス化事業」へと変更されただけであり、旧制度と同じ事業内容・条件の下で3つの事業を活用して頂けます。
なお、次回の公示は2018年9月中旬、企画書の提出締切は同10月中旬に設定されるとのプレ公示情報が、すでにJICAから発表されております。
弊社では、企画競争に勝てる質の高い提案書類の作成を支援するため、できれば企画書提出日の3ヶ月以上前、最低でも2ヶ月前からの作業着手をおすすめしております
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